拡大鏡を使った精密な治療を行なっています

■拡大鏡って何?

拡大鏡あなたも、歯科治療を受けるときに、歯科医が写真のようなメガネ(?)を装着しているのを見たことがあるかもしれません。「なんだか面白いものを使っているなあ。何だろう?これ」と思われた患者さんもいるかもしれませんが、これを、拡大鏡(かくだいきょう)と言います。山口歯科医院では、3年ほど前から拡大鏡を使っています。

私が拡大鏡を使い始めたきっかけは、最新の歯科治療の技術を習得するための講習会で(今の医学は日進月歩で、常に技術を磨かないと患者さんに良い治療ができません)、講師の先生に「これからの治療には、拡大鏡を使った方がいいですよ。」とすすめられたからです。

それ以前から拡大鏡のことは知っていましたし、使ってみたいと思っていたのですが、実際に使ってみてびっくりしました。

■拡大鏡で見える世界、肉眼の2.5倍~6倍!

今まで肉眼で見た世界と全く違う世界が、そこには広がっていました。倍率は2.5倍~6倍ほどです。数字で聞いてもピンとこないかもしれませんが、比較写真をご覧ください。これほど、見え方が違うのです。

6倍の拡大鏡で見た場合

私はこの拡大鏡にLEDライトを装着して使用していますので、治療しているところが拡大して見えるだけでなく、明るくなるのでさらによく見えます。

歯科の治療では、小指の爪ほどの大きさの歯の内側や境目にできた、見えづらい虫歯を治療するなど、ただでさえ細かい作業が要求されます。肉眼では限界があります。ところが、拡大鏡を使うと作業効率も上がり、治療の結果や予後に大きな差が出ることを実感しています。最初、拡大鏡に慣れるまでは、くもったり、視野が限定されるので疲れを感じることもありましたが、慣れてくると、今では逆に目が疲れません。

■こんな治療に拡大鏡を使っています

当院では、以下のような治療をするときに拡大鏡を使っています。

①むし歯治療と、つめものやかぶせものをするとき。
よく見えるので、どこまでが虫歯でどこからが健康な歯かを見極めて、できるだけ削らずないむし歯治療ができます。また、つめものやかぶせものの境目も、できるだけ段差が出ないように作ることができます。(段差があると、そこからまたむし歯になりやすくなります!)

②セット前に仮歯を入れて、歯周治療をしながら歯ぐきの治りを観察する時。
歯と大きさが合っていないかぶせものがお口の中にある場合、歯とかぶせものの境目に段差ができてしまいます。(肉眼で見て分からなくても、ミクロン単位で段差ができていることがよくあります。)すると、その段差部分に汚れやプラーク(歯垢)がたまり、細菌がたくさんすみついて歯ぐきの炎症が起きやすくなります。こうなると、いくらブラッシングを一生懸命やっても改善されません。また、プラークは常にたまりやすい状態です。

これを改善するには、いったんかぶせものをはずします。そして、歯との段差のない、歯とスムーズに移行するようなぴったり合う仮歯を作ってから、スケーリングやブラッシングをして歯ぐきを正常な状態に治します。歯ぐきの状態が正常になったところで、最終的な(正式な)かぶせ物用の印象(型)をとって創ります。すると、ピッタリと合って隙間がなく、虫歯が再発しにくくなります。歯とかぶせ物の境目の段差を見るとき、仮歯や最終的なかぶせ物を作るときなど、全ての工程で拡大鏡が活躍します。

③歯の根の治療をするとき。
むし歯が進行しすぎて腐ってしまった歯の神経を除去するのが、歯の根の治療(根管治療)です。歯の根の内部は複雑に入り組んでいることが多くて、神経の取り残しがあると、そこからまた痛みが出てくることがあります。見つけにくい歯の根の管を見つけるのにも、神経の取り残しを防ぐのにも、拡大鏡が役に立ちます。

④歯が折れてしまっている部位を見つけるとき。
むし歯もないし歯周病もない。他にも特に原因や問題はなさそう…なのに歯がしみる場合。肉眼で見て分からなくても、拡大鏡で見ると、歯が折れたり欠けたりしているのが見つかることがあります。

⑤インプラントや歯周外科処置など、外科処置を伴う歯科治療をするとき。
術中、拡大鏡を使って治療するのと肉眼でするのとでは、精密さが違うと実感しています。また縫合の際に細い糸が使えるので、治りが良くなります。

⑥歯の定期検診やクリーニングをするとき。
衛生士が、歯石の除去や歯のクリーニング(PMTC)をするときにも拡大鏡を使っています。肉眼では見落としてしまいそうな歯石や歯垢も、逃さずすべてきれいにします。歯のツルツル感、歯周病やむし歯の予防効果も違いますよ。

これら以外にも、もちろん一般的な治療やお口の中の検査にも、拡大鏡が大活躍!しています。

■いいことずくめの拡大鏡

拡大鏡を使うと、「見える」ことで、今まで生じていた迷いや、経験や勘に頼っていた部分がなくなります。変な話、お口の中の問題箇所や原因が「見えて」しまったら、やらないわけにはいかないんですね。(医療者の性:サガです。)

拡大鏡を使うと治療精度が上がります。あまり削らない治療が可能になりますので、麻酔なしでも治療の痛みが少ないケースも多いです。麻酔注射が苦手な患者さんにとても喜ばれています。(もちろん、治療の痛みを避けたい場合には麻酔しますのでお気軽にご相談くださいね。)

治療精度が高いので、見た目もきれいになる上に、再治療やむし歯の再発の確率がぐんと減ります。治療の予後についても、ある程度の好予測ができます。

さらに、拡大鏡を使った歯のクリーニングはツルツル感や口の中の気持ちよさが違うので、「また3ヶ月後に来ます!」と、メインテナンスに意欲的な患者さんも増えてきています。

当院では、もう拡大鏡のない治療には戻れそうにありません!
あなたもぜひ、拡大鏡を使った精密な治療を受けてみてください。

拡大鏡