マイクロデンティストリー ―顕微鏡を使った精密な歯科治療―

◆マイクロスコープって何?

精密な治療をするために私が普段から使用しているのは、頭に装着して使う拡大鏡です。

マイクロスコープ
マイクロスコープもお口の中を大きく拡大して見るための器械ですが、持ち運びできる拡大鏡とは違って、たとえば歯科用ユニットのような固定式の歯科用顕微鏡です。

マイクロスコープは、拡大鏡よりもずっと拡大率が大きくなります(当院の顕微鏡は、ライカM320-Dという製品で、拡大率は3.2倍、5倍、8倍、12.5倍、20倍となっています)。

実は、マイクロスコープの存在自体は、私は早くから知っておりました。私の大学の同級生が、アメリカのコロンビア大学、ペンシルバニア大学に留学して、(1996年ごろ)日本にマイクロスコープを持ち帰りました。彼は、日本におけるマイクロスコープの先駆者で、現在はマイクロを駆使したエンド専門(根管治療)医として開業するかたわら、東京医科歯科大学臨床教授として、教育、講演などで活躍しています。

マイクロスコープあるとき、私の奥歯に原因不明の痛みがあり、レントゲンなどをとっても原因が特定できずにいました。ところが、彼の診療室でマイクロで検査した結果、歯に亀裂が入っていることがわかり、治療してもらいました。以来、奥歯の痛みは消失したまま快適に生活できています。

それまでも、マイクロはすごいものだなという認識は持っていましたが、今回の体験を経て、患者さんの治療にも大いに役立つものだという確信を得ました。そんなタイミングで、マイクロスコープのデモ機を貸していただけるというお話をいただき、自分でも使ってみました。

マイクロスコープ口腔内、そして歯という非常に小さな部位に対して、「肉眼では見えない世界が鮮明に見える!」そのことに驚きと衝撃を得ました。私はマイクロに惚れこんでしまい、約半年かけて、5社の顕微鏡を実際に使ってみました。そして、私の診療スタイルに合い、患者様に一番役立つと実感できた機種を導入しました!

◆マイクロスコープのすごさ

マイクロを使用したときに私が感じた衝撃と驚きをお伝えしたいと思います。

①ワンタッチで、診療姿勢を変えないまま倍率を変えられる!
拡大鏡実は、拡大鏡では倍率を変えるたびにゴーグルを取り換えなければならないという不便さがありました。また、拡大鏡は患者さんとの距離でピントを調節するため、倍率が上がるとそれだけ患者さんとの距離が遠くなり、治療しにくいという悩みもあったのですが、マイクロは同じ姿勢で治療できますから、その悩みも解消しました。

②LEDライトが固定式で明るい!
マイクロスコープ患者さんの口元を明るく照らすためにLEDライトをつけるのですが、拡大鏡ではLEDをつけると頭が重くなって揺れるので、視野が変わりやすく治療しづらかったのですが、マイクロは固定式なのでそのようなことはなく、しかもダブルでLEDがついているので、非常に明るい環境で治療ができます。

そして、私が最も興奮したのが、

③大きなモニターでお口の中の状況を患者さんにも見ていただける!

拡大鏡は治療者しか画像が見られず患者さんと共有できなかったのですが、マイクロでは、今私が見ている画像を撮影して(静止画、動画ともに)、大きなモニターですぐに患者さんに見ていただけます。これは本当に大きな興奮でした。お口の中をチェックしている段階で、悪いところをすぐに拡大して見ていただけます。こちらも説明しやすいですし、患者さんにも大変わかりやすいと思います。

マイクロスコープ

④自費の治療にも、保険の治療にも使えます!
また、マイクロスコープは、自費(保険外)治療の内容にも保険治療の内容にも、必要に応じて幅広く活用できます。「マイクロは自費治療にしか使わない」という先生もいますが、当院では、必要があれば保険治療にも積極的にマイクロを使って、患者さんにより精密で的確な治療をしていきたいです。きっと、患者さんにも喜んでいただけると信じています。

…本音を言えば、私も老眼になりつつあり、裸眼では細かい治療がきつくなってきているということもあります。しかし、マイクロスコープがあればそのような要因をなくして今まで培ってきた経験と技術を患者さんに投じることができます。拡大鏡もフルに活用しながら、患者さんが良くなることを第一に考えた治療を今後も行なっていきます。

◆マイクロはどんな治療に使うの?

マイクロスコープは、どんな治療にも活用可能です。
保険治療、自費治療の区別なく、使えるところにはすべて使っていこうと思っています。
具体的には、

1.麻酔をする時
針のカット面が顕微鏡だと見えるので、カット面を上にして、カット面が粘膜の中に入った時点で、ゆっくり麻酔液を注入すると、ほとんど痛みがありません。

2.根管治療
見えない根管の発見。マイクロ用の機材を使います。

3.セットした後のセメント除去

4.仮歯の適合チェック

5.被せる物の適合チェック

6.各種検査

7.歯石除去と結果確認

8.MI治療
見えないものが見える、歯肉を傷つけない、過不足なく充填できる、結果の確認。マイクロ用タービン、バーを使います。
MI治療

 

 

9.歯冠、歯根の破折
 

そして将来的には

10.歯周外科

11.インプラント手術

などに応用していきます。

今までは、このために無影灯(手術の時、天井から下がっている複数のライトで影ができないようにする特殊な照明)を設置している先生が多かったのですが、マイクロを使用するなら、無影灯は無用になります。

さらに、スタッフ全員があらゆるケースで使用できるようにしたいと思っています。

◆マイクロが意味すること

現在、マイクロスコープを導入している歯科医院はたった4%といわれています。
しかし、これからはマイクロを使った治療は、歯科のスタンダードになっていくことと思います。アメリカをはじめ、日本の大学でも、マイクロを使った教育が増えてきています。歯科の未来は間違いなくマイクロなしでは語れなくなっていきます。

治療が精密で確実になれば、治療中の痛みや、再治療の可能性がとても少なくなります。治療者としても、患者さんが痛みを感じたり、治療した歯がまた悪くなってしまうのを見るのはとても悲しいことなのです。マイクロを使うことで、患者さんの歯が長持ちして喜んでくだされば何よりです。

当院では、マイクロスコープを使うことで特別な費用はいただいていません。ただ、通常よりも少しだけ治療に時間がかかりますので、その点だけご了承ください。

歯の痛みがなかなか治まらないときは、肉眼や拡大鏡では見えないほど小さいヒビが入っているのかもしれません。いつも食べ物が挟まる、フロスが切れてしまう歯があるなども、原因が分かれば的確な治療ができます。

歯や口に関するどんなご相談にも乗ります。気になる症状があったら、お気軽にご来院ください。